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若手地銀マンの安定ライフ⑨~ローン営業編III~

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。
このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。

 

■前回までのあらすじ
窓口と営業、二足のわらじを履きつつ、営業夕会で処刑される毎日。喉が渇き、身体からは嫌な汗が噴き出す。一体いつになれば、この苦しみから逃れられるのだろうか…

 

 

ー「旦那と日曜しか会えない?仕方ない。お前、休日出勤して一人で提案してこい。絶対申込書までもらってこいよ」ー

 

3月に入り、ようやく希望のある案件が舞い降りてきました。インターホンを鳴らすとすぐに出てきて、借換の提案が出来た奥様。債務者の旦那様は、会社役員で給料も多く、属性問題なし。借換で200万ほどメリットがでる、理想的なお客様でした。

奥様は借換に乗り気でした。しかし、「最終決定は旦那様」「旦那は出張続きで日曜しか帰ってこない」とのことです。聞くところによると、3月中旬の日曜しか会う時間がないとのことでした。

そのことを上司に相談すると、

 

「旦那と日曜しか会えない?仕方ない。お前、休日出勤して一人で提案してこい。絶対申込書までもらってこいよ」

 

とのお言葉を頂きました。

 

住宅ローンの借換のセールスは、基本的に家にいる時間の多い奥様から切り崩すことが多いです。しかし、どうしても働いている旦那様と会わなければ行けないタイミングが2回あります。ひとつは申込書の記入、もうひとつは審査通過後の契約です。

旦那様は大体平日仕事で、帰りが遅い方も多く、平日はなかなか会う時間が取れません。そうなると、必然的に土日に会わなければ行けなくなります。

"銀行は土日祝は絶対休み"というイメージを持たれがちですが、こと住宅ローン営業担当にはそれが当てはまりません。休日出勤、夜間勤務が日常的になります。本部のローン専門部隊は、最初からシフト制で平日休みになっています。

 

さらに、時は3月。決算月です。3月の業績は、ダイレクトに会社の決算書に跳ねてきます。故に、数字に対するプレッシャーが普段の2倍増しになると共に、「どんな手を使ってでも今月中に融資を完了させろ」ということになります。

 

3月中に借換を完了させるには、その日曜日に申込書+必要書類を完璧に受領し、すぐに審査を通すしかありません。自身初のローン本申込は、一人かつ失敗が許されない状況でのチャレンジとなりました。

 

 

ー「次に会えるのが31日?仕方ない。お前、31日に契約・完済手続・実行まで全部出来るよう客と仕切れ。お前の案件がないと住宅ローンの目標いかないんだから、絶対ミスるんじゃねえぞ」ー

 

来たる日曜日。「なぜ休みの日に下り電車にのり、この街へこなければならないのだろう」という思いを抱えながら、営業車に乗り込みました。面談は12時から。途中、イオンのマクドナルドで食べたハンバーガーの味は今でも忘れられません。

 

提案は、結果上手くいき、申込書に記入をして頂けました。書類も無事。途中8回位先輩に電話をしましたが、無事完遂。

終了後上司にメッセージを送ると、「お疲れ様。明日、書類を預かりにいくんだよな?抜かりない様に」とのお言葉。そう、日曜は支店が締まっているため、お客様の大切な書類を素で預かれないのです。

 

次の日、先輩と一緒に奥様の元へ。書類を預かり、即刻審査に上げたところ、一番いい条件で審査が通りました。

さて、残るは契約です。奥様に連絡を取ると、

 

「審査通ってよかったです。旦那は、31日なら午前休取れます」

 

とのことでした。

 

住宅ローンの審査が通った後は、

"①契約→②現在借りている銀行に行って完済の申込(大体、申し込んでから3日後以降に完済予約が出来るところが多いイメージです)→③完済予定日に融資+完済銀行に振込"

となります。特に①と②は、旦那様に足を運んで頂く必要があります。また、

 

さて、旦那様と会えるのは31日。①②③の手続きを同日にできるのか、初めての私はわかりませんでした。その旨を上司に相談すると、

 

 

「次に会えるのが31日?仕方ない。お前、31日に契約・完済手続・実行まで全部出来るよう客と仕切れ。お前の案件がないと住宅ローンの目標いかないんだから、絶対ミスるんじゃねえぞ」

 

同日にやらない選択肢はないとのことでした。

 

結局、31日までに契約に必要な書類を奥様に準備して頂き、

31日の朝一で契約→その足で旦那様は銀行で手続き+私が近くで待機→手続き終了後、完済日の日付で支払伝票受領→支店に連絡して、融資実行+融資金は完済日まで別口座にプール

 

という、やり方で、無事ローンの実行を遂げました。

 

初めてのローン実行=売上計上は、綱を渡るような、デンジャラスな経験となりました。でもこれで、支店の住宅ローン目標は達成です。

ほっと一息ついていると、支店長(神様)が御神託をくださいました。

 

「ローン実行お疲れ様。来期も頼むよ。あと、明日から預かりもしっかりやってもらうから、よろしく」

 

…シフトに比べて、預かりも…?

…ていうか、預かりってなんだ…?

 

〜次回⑩預かり資産営業編Iへ続く

 

※この物語はフィクションです。

 

 

 

 

 

 

 

若手地銀マンの安定ライフ⑧〜ローン営業編II〜

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。
このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。

■前回までのあらすじ

 

現在取り組むは、住宅ローンのシフト(借換)推進営業。夜な夜な住宅地を回り、インターホンを鳴らし続ける毎日。お客からのクレーム電話というアクセントが胸にささる。いつになれば、成果を出せるのであろうか…

 

 

「〇〇、自分の立場を自覚しろよ。2ヶ月やって実績ゼロとか営業としてありえないからな?」

 

時は2月。私は日中、ハイテラーとして窓口に立っていました。後から知ったことですが、私のいた支店は来客数が多く、かつ客層も悪いことで有名で、「異動したくない店No.1」と行内で言われていました。2月、3月は受験シーズン。受験料、入学金の振込で来客数がいつもの1.5倍ほど増え、窓口が回らなかったのです。そこで、昨年夏にハイテラーを経験した私が、ピッチヒッターとして投入されました。

だからと言って、営業のノルマが減るわけではありません。窓口が閉まる午後3時までは窓口をやり、3時以後は住宅地を回る毎日でした。

 

 

私は、返済予定表を週に一度は持ってこれるようになっていました。しかし、申込書の記入までたどり着きません。

ある人は、借金が多く、かつ独身のため簡易審査にも通らない(独身の人は、住宅ローンの審査が通りにくくなります)

ある人は、属性は悪くないが、担保価格が足らず簡易審査に通らない(辺鄙なところに建っていたり、建物が古かったりすると、将来売ったときの価格が低くなるため、審査が厳しくなります。また、田舎にいけばいくほど、土地が安くなり、住宅ローンの審査も厳しくなります)

ある人は、属性問題なし、家も新しめ、だが土地の持主であるお爺ちゃんが北海道のホスピスにいて、契約書にサインできない(家の土地と建物の所有者が別の場合があります(お爺ちゃんの持つ土地の上に建物を建てた場合など)。住宅ローンを組む際、土地と建物両方を担保に取らないと売りに出せないため、土地と建物両方の所有者と契約を結ぶ必要があります)

 

さて、営業のシマには、「夕会」と呼ばれるものがあります。その日の結果を上司に報告する場です。支店の数字が芳しくない月末は、空気が冷え切り、留置場での尋問さながらの時間が待っています。

返済予定表を持ってこれなかった日の夕会は、死地に赴く気持ちで自分の番を待ちます。

 

「〇〇件訪問し、有効面談△△件、返済予定表は本日も0でした。本当に申し訳ございません!」

 

最初は何も言わなかった営業次長も、段々耐えられなくなってきたのか、ある日こう言いました。

 

「〇〇、自分の立場を自覚しろよ。2ヶ月やって実績ゼロとか営業としてありえないからな?」

 

背筋が凍りつくのを感じました。

その日の夜は、いつもより長くピンポン営業をしていたのは、言うまでもありません。

 

2月の夜は、まだ寒さが引きませんでした…

 

〜次回⑨ローン営業編III(完結編)へ続く

 

※この物語はフィクションです。

 

 

 

 

 

 

若手地銀マンの安定ライフ⑦~ローン営業編Ⅰ~

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。
このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。

 

■前回までのあらすじ
11月半ばの夕会。突然のSさん退職宣言。そして、営業への移動・・・頭が追い付かない・・・

 


―「先輩として言っておく。これからもっと辛くなるぞ。うちらみたいな、何事もまず頭で考えちゃうタイプは間違いなく辛い」―
今回退職することになったS先輩は、6年目の法人営業担当でした。2年目から金融商品と住宅ローンの営業をスタート。途中、社内の審査部トレーニー制度に合格。半年間、本部にて法人の与信審査のノウハウを学び、晴れて法人営業担当として、この支店でデビュー。順調な銀行員生活を送ってきたともいえる方でした。
私と同じ高校の先輩ということもあり、熱心に指導をくださっていました。なのに、なぜ突然・・・。
表向きの理由は、「親の体調が悪く、より近くで面倒を見れる、かつ勤務時間がフレキシブルな仕事に変えざるを得なかった」というものでした。
なんとなく腑に落ちなかった私は、次の日にこっそり聞いてみました。

 

「実際、どうしたんですか」


「普通に転職。出版社。給料上がるんだぜ。やっと営業の劣悪なシマから抜け出せるよ」


「・・・営業、どんな感じだったんですか」


「次長には机を蹴られるし、隣のK先輩には毎日詰められて、半分鬱気味になるし・・・実際、病院に行ってたりもしたんだ」


「そんなにひどかったんですね・・・」


「先輩として言っておく。これからもっと辛くなるぞ。うちらみたいな、何事もまず頭で考えちゃうタイプは間違いなく辛い。お客さまにお願い営業するとき、頭がブレーキかけちゃうんだよな。そこで余計なこと考えずお願いできる奴の方がそりゃ実績があがるよ」


その後、その先輩は2週間近く、有給消化期間に入り、支店に姿を見せませんでした。12月の最終日だけ出社し、荷物をまとめ、その日でさよならとなりました。一応、飲み会はありましたが、プレゼント等もあまりなく、寂しい雰囲気だったのをよく覚えています。

 

 

―「・・・そこで奥様、住宅ローンの返済のご予定表に見覚えはございますでしょうか」―

 

S先輩の穴を埋めるべく、12月の頭より、営業に係替えになりました。
始めの任務は、住宅ローンのシフト活動でした。
住宅ローンの“シフト”とは、“借り換え”“肩代わり”を意味します。現在、他の金融機関で住宅ローンを借りている人対して、「当行で、より安い金利で住宅ローンの借り換えをしませんか。毎月の返済額減りますよ」という寸断です。 


例えば、残債2,000万、期間20年、変動金利2%、毎月返済額101,177円の人が、2,060万(手数料込)、期間20年、変動金利1%で借りなおしたとします。計算すると、毎月返済額は101,177円→94,738円(月6,439円、1年で77,268円の節約)、20年間トータルの返済額も、24,282,400円→22,737,175円(20年で1,495,225円の節約)となります。現在はゼロ金利政策をとっているので、10年前に比べて金利が大幅に安くなっています(一般に、住宅ローンの変動金利は国の政策金利と動きを同じくします)。ですので、借り換えにより大きくメリットのでる家庭が多いのですね。


シフトの推進方法は大きく2種類あります。一つ目は電話セールス。銀行に口座がある人は、必ず年齢、住所、連絡先の電話番号等を一緒に登録しています。その情報を基に、セールスリストを作成し、電話をかけます。例えば、“30-40代の主婦層リスト”を作成し、ひたすら電話をかけまくります。
二つ目は飛び込み営業。ねらい目の分譲地をリストアップし、ピンポンをして営業します。例えば、“10年間にできた分譲地の住所リスト”を地図等から探し、直接訪問します。不在ならば何度も何度も、ポストにビラと名刺を入れ続けます。午前中在宅している主婦の方から話がつながることもあれば、夜遅くに分譲地を訪れ、仕事帰りのサラリーマンに直接面談をお願いすることもあります。冬場は死にます。


「○○銀行の△△と申します。この地域の担当をしておりまして、主に住宅ローンの借り換え等を皆様にご提案しております。失礼ですが、現在住宅ローンはお組みでいらっしゃいますか・・・そうですか!現在、金利が過去最低のところまで下がってきておりまして、当行でお組みなおしすることで、月々の返済が1万円以上節約できるかもしれません。今毎月府どれくらいお支払いされていらっしゃいますか・・・それは結構な出費ですね。安くなれば嬉しいですよね。そこで奥様、住宅ローンの返済のご予定表に見覚えはございますでしょうか。そちらのコピーを一枚いただければ、実際お借り替えされた場合にどれくらいメリットがでるのか、試算表とともにわかりやすくご説明ができます。お探し願えますでしょうか」


このようなセールスをします。「住宅ローンの返済予定表をもらう→試算表を作る→試算表提示、提案→応諾→申込書類受領→審査通過→契約(と同時に、先方銀行でのローン完済手続き)→住宅ローン実行」の流れで完結します。トータルで2週間の短期決戦です。お客様の熱が冷めないうちに、すべてを終わらせるべく、スケジュール管理は慎重に行います。 

 

 

―「こんな夜遅くに来て、迷惑だと思わないのですか!○○銀とは取引はありません!二度と来ないでください」―

 

シフトのセールスは、非常に根気のいる作業です。現在、共働きの家庭が増えてきているせいで、電話をしても誰もいない家庭が半数以上を占めます。たとえ電話がつながったとしても、辛い反応をされることが多々あります。当行で住宅ローンを組んでいないということは、すなわち当行をメインで使用していない方々です。「なんでそんな取引してない○○銀行がうちにくるの」という冷たい反応をされることが多いです。
それでも、案件のネタを持ってくるためには、なんとしてもお客様と会い、お話の機会を頂戴するしかありません。どうしても昼間に会えない夫婦には、夜にピンポンして会いにいくしかありません。

時は1月の凍えた夜。20時くらいに、私はミニ分譲地に車を留め、一軒一軒インターホンを押して回りました。


「夜分遅くに失礼いたします。○○銀行の△△と申します。この地域の担当をしておりまして、ぜひごあいさt」 


「こんな夜遅くに来て、迷惑だと思わないのですか!○○銀行とは取引はありません!二度と来ないでください」 


「大変失礼いたしました」


その時点で心が折れてしまい、自分でもわかるくらいに背中を丸め、営業車に乗り込み、誰もいない支店の駐車場に戻りました。

 

翌日、午後の3時くらいに、副支店長に応接に呼ばれました。


「お疲れさま。ところで、○○さんって、知ってるか?」


「昨日、シフトで回った先です」


「本部に苦情の電話がきたそうだ。夜遅くに回るのは失礼極まりないと。一応、菓子折りもって玄関において来い。」


元々が当行のファンでない方が多いため、このようなクレームは日常茶飯事です。こんなものに負けてはいられません。
早く返済予定表をもらえるように、頑張らなくては・・・ 


~次回⑧ローン営業編Ⅱへ続く

 

※この物語はフィクションです。

若手地銀マンの安定ライフ⑥~融資窓口編~

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。
このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。


■前回までのあらすじ
休暇明けより突如窓口へのポジションチェンジ。番号札をもらい忘れて回収しにいったり…ドタバタやりながらも、ようやく慣れてきたところに、「明日からプロパー窓口な」との指示。
今度はまた別の業務か・・・そもそもプロパーってなんだ・・・?

 


―「今日中に担保の評価替え4本やっといて。忙しい?いやできるっしょ。それやんないと今月実行間に合わないから絶対よろしく」―


銀行の本業と言えば「金貸し」。預金として預かっているお金を、お客様に貸し出して、その対価として、金利収入を得ています。筆者が務めていた銀行では、全体の売上に対する利息収入(貸出金利息)が5割程度を占めていました。
貸出には大きく2種類あります。法人向け融資と、個人向け融資です。
法人向け融資は、その多くが①プロバー融資、もしくは②保証協会付融資に分類されます。
①プロパー融資とは、銀行単体で与信(貸したお金がちゃんと帰ってくるか)判断を行い、金利、金額、期間等を設定し融資する、いわばオーダーメードの融資です。リスクを全負担するかわりに、お客様によって、またその用途によって、ある程度自由に融資をすることができます。
一方、②保証協会付融資とは、県の信用保証協会(日本政策投資銀行をバックにもつ、公的機関)に間に入ってもらい行う融資です。保証料を信用保証協会に払う代わりに、もしお客様が、「お金を返せない!」となった際、保証協会が損失の一部を肩代りしてくれる、という仕組みを組むことで、銀行はより高リスクな貸出を行うことができるようになります。政府のバックボーンのもと、プロパー融資では危険で貸せないお客様にも貸出を可能にした仕組みといえます。そのかわり、金利・期間等の融資条件は定型化されており、型にはまらない融資は受けられないという弱点もあります。
規模の小さい法人先、新たに設立したばかりの先、若しくは財務状況が健全でないお客様には、まずは協会付き融資、という形で提案することが多いように思えます。


上記の法人融資取引関連で、プロパー窓口担当の役割が発生してきます。プロパー窓口の仕事は大きく3つあり、


a.融資に係る事務作業
b.窓口での融資申し込み対応
c.お金を予定通り返せなくなってしまった先(管理債権先)の対応


があります。

a.融資に係る事務作業とは、法人担当がまとめてきた融資案件に係る事務作業のことです。
例えば、「担保の評価替」という業務があります。銀行がお客様に融資をする際、多くの場合は、会社及び代取の資産(土地建物など)を担保として差し入れてもらいます。何の担保かといえば、会社が「お金返せない!」という事態に、銀行が「わかった。じゃあお主の土地とか全部売って、貸した金返そうや」と言って債権を回収するためのものです。担保に入れる土地建物等は、時価や面積を元に担保価格(売ったらいくらになるか)を計算し、その金額を見ながら銀行員は、いくらお金を貸せるか検討します。担保にとっている土地や建物に何か変化があった場合には(土地価格が下がった、火事で燃えた等)、再度評価を行い、ちゃんと保全が効いているか(売っても十分な金になるか)を確認しなければなりません。このような担保の再評価にかかわる事務を「担保の評価替」と呼びます。
私の勤めていた銀行では、本部に担保の評価を専門に行う部署がありました。よって、営業店での事務は、担保評価に必要な書類を準備し、本部に送ることでした。必要な書類の多くは、土地建物の登記簿謄本、公図、地積測量図など、法務局のHPからダウンロードできる書類です。もし担保に入れている資産が多い場合には、その数は100枚以上になることもあります。非常に時間がかかるので、法人営業担当の人から、プロパー窓口のところに“お願い”が来ます。


「今日中に担保の評価替4本やっといて。忙しい?いやできるっしょ。それやんないと今月実行間に合わないから絶対よろしく」


法人営業担当の方は、きっと自分には想像できないスピード感で働かれています。その方の期待に応えるためには、自分の業務がいくら溜まっていようとも、最優先にやるしかありません。インターネットパソコンの前に座り、無心に資料をダウンロードするのも、プロパー窓口の立派な務めです。

 


―「さっきのおじいさん年担?お疲れさま。クレジットカード獲った?あ?なんで獲らないの?ただの時間の無駄じゃん。目標あるんだから絶対セットしろよ」―

 

b.法人先には基本的に営業担当が周り、融資の話を持ってきますが、今まで取引の浅い先、また新規に開業を考えている先等、お客様が直接窓口に来店し、融資の相談を受けることがあります。
また、お金を借りようとするのは、法人の方だけではありません。仕事を引退したおじいちゃんおばあちゃんが、お金を借りに来ることもあります。「年金担保貸付」という制度をご存じでしょうか。おじいちゃんおばあちゃんの年金証書を預かる代わりに、年間の年金受取額の範囲内で(最近制度が少し厳しくなりましたが)お金を貸してやろう、という仕組みです。「歯医者のためです」「農機を買うためです」「他の借金を返すためです」「“生活費”だよ。何に使うか?そんなの聞くんじゃねえよバカ」・・・いろいろな理由で、じじばばが窓口に押し寄せてきます。
この年金担保貸付(略して年担)は、「独立行政法人福祉医療機構」なる機関が運営しており、銀行はあくまで代理店として事務手続きを受け付ける立場にあります。代理店として事務を受け付けるため、誓約書等、書類も必要以上に多くなります。相手がおじいちゃんおばあちゃんなので、記入にも時間がかかります。2時間以上かかることもあります。さらに悲しいことに、この手続きを受け付けたところで、営業推進上、なんの得点にもなりません。「時間かかるくせに、1円たりとも支店に収益をもたらさない」業務として、銀行員には忌み嫌われています。忌み嫌われている業務だからこそ、若手の窓口担当がこの業務を行うのは必然でしょう。

 

一日に年担を2件捌いたある平日、業後に先輩が声をかけてくださいました。


「さっきのおじいさん年担?お疲れさま。クレジットカード獲った?あ?なんで獲らないの?ただの時間の無駄じゃん。目標あるんだから絶対セットしろよ。」

 

「いや、おじいちゃん絶対クレジットカード使わないでしょう・・・」


などとは口が裂けても言えず、ただ「申し訳ありません」と頭を下げることしかできませんでした。
営業店の推進項目の一つに、クレジットカードの販売があります。多くの銀行は、「○○○○J△Bカード株式会社」「株式会社◇◇V●SAクレジット」なる子会社を持っています。クレジットカードを売るとその子会社に収益が入り、銀行グループ全体での業績が良くなるので、「客がいっぱい来る銀行でも推進しろや」、という話です。クレジットカードのノルマは、営業店に、そして各人に振られます。営業担当のみならず、窓口担当にも当然のようにノルマが振られます。預金窓口担当は新規口座作成客に必ずセット、住宅ローン窓口担当は金利割引の条件みたくセット、そしてプロパー窓口担当は、じじばばでも、窓口に来る客には誰にでもセット・・・となります。お客様が実際にカードを使おうが使わまいが、そんなもの関係ありません。「初年度無料ですから!1年たたないうちに解約すればいいですから!」は鉄板セールストークです。


プロパー窓口が担当するお客様といえば、上記cの管理債権先、もしくは年担のお客様がメインです。管理債権先は役席の方が担当されていたため、筆者のメインターゲットは年担のおじいちゃんおばあちゃんしかいませんでした。その日から、彼らが獲物と化しました。年担の手続きを進めながら、お客様と話しを深め、タイミングを見計らってカードをセールスしました。心の奥に、何かがこびりついている感覚を抱えながら・・・

 


―「本日の実績は以上です。最後に支店長、何かございますか」―


時は11月半ば。事務作業も覚えてきて、クレジットカードのセールスも無心で行えるようになってきた頃。ある日の夕会のこと。
副支店長「本日の実績は以上です。最後に支店長、何かございますか」
支店長「ご苦労さまです。本日は一つ報告があります。・・・とても残念ですが、営業のSさんが今月いっぱいでご退職となります。それに伴い、筆者さんには営業に入ってもらう予定です」

 

・・・???

 

~次回⑦ローン営業編Ⅰへ続く

 

※この物語はフィクションです。

若手地銀マンの安定ライフ⑤~窓口業務編~

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。

このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。

■前回までのあらすじ

何故か新卒パンフレットを作らされた導入研修を終え、支店でのOJTに取り組む。預金の基礎がわかってきたところで、休暇明けに「ハイテラー」へのポジションチェンジ令がいい渡される―

 

―「番号札回収し忘れた?何やってるの。今すぐ、客に電話して、粗品もって回収してきなさい。必ず今日中に捕まえること」―

ハイテラーとは、窓口に立って、現金の入出金や振込等を行う人のことです。いわゆる「窓口のお姉さん」です(私は珍しく「窓口のお兄さん」でしたが)。

銀行によって差はあるみたいですが、私の銀行は窓口の方のことを「テラー」と呼んでいました。基本的な業務を行う方をハイテラー(受付・お返しを高いテーブル上で、立ったまま行うことに由来しています)、一方で、区切りのあるブースにて、口座作成や資産運用の相談に乗る、いわゆる相談窓口の方をローテラーと呼んでいました。

ハイテラーの特徴は、「一人で基本業務のすべてを完結できること」です。預金後方で伝票を打っていたときは、隣に検印の方がいて、ダブルチェックでミスを見過ごすことはほとんどありませんでした。一方、ハイテラーは、伝票を検印に見せることなく、自分で受付して、自分で打って、自分でお返しすることができます。テーブル横に小さな現金出納器もあるので、現金の出金も自分でできます。故に、一連の処理プロセスに何か不備があっても、誰も気づかないまま、お客様を帰すことになってしまいます。

ある時、3時にシャッターが閉まったあと、「番号札が足りない」という声があがりました。

伝票を見返してみると、原因は私とわかりました。私が入金処理を受け付けたお客様から、番号札を回収し忘れたようです。

上席に報告すると、

「番号札回収し忘れた?何やってるの。今すぐ、客に電話して、粗品もって回収してきなさい。必ず今日中に捕まえること」

とのことで、すぐに客の口座情報を開き、登録の番号に電話をしました。幸い、ご自宅にいらっしゃり、かつ番号札もお持ちだったので、営業車で回収に向かえましたが、もしどこかで落としてしまっていたりしたら・・・と思うと、背中から汗が吹き出しそうになります。

テラーの仕事は、銀行の基本原則たる「正確・迅速・丁寧」が、最も体現される仕事かもしれません。

最初はどぎまぎし、かつ先輩にいやというほど質問し、お客様に遅いと怒られながら仕事をしていましたが、3週間もすると不思議と慣れてくるものです。業務をミスなくこなし、お客様の複雑な注文を処理したり、繁忙時間のお客様の捌き方も気にする余裕がでてきました。

時は8月末。月末最終日の大混雑を切り抜けて、3時にシャッターが閉まった業後、支店長応接に呼ばれました。

「お疲れさま。副支店長から、テラーよくやってくれていたと聞いているよ。で、明日からプロパー窓口ね。あ、昼休みは引き続きテラーの応援入ってもらうから、よろしく」

・・・突然のプロパー窓口デビューが待っていました。

・・・「プロパー」って、なんだ・・・?

~次回⑥融資編へ続く~

 

※この物語はフィクションです。

若手地銀マンの安定ライフ④~導入研修編~

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。
このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。


■前回までのあらすじ
軍隊式トレーニング、入行式、支店への訪問と、入行初日は密度の濃い時間を過ごした。
その後の歓迎会も、素敵な先輩方に囲まれ、楽しい時間であった。今後の銀行員生活に期待を膨らませながら、次の日の研修に備え眠りにつく。
そして、次の日。

 

 

―「甘い!なんだこの企画書は!企画を通そうという気が感じられない、やり直し」―


銀行員2日目。私は、学生向け新卒採用パンフレットの企画書を作っていました。
本日から3日間、郊外にある研修所にて、泊まり込みの研修が入っていました。研修の内容は主に2つありました。一つは、伝票の書き方、預金口座の種類、“現金その場限り”の原則等、銀行の基礎知識についての座学。もう一つが、リクルートマネジメントソリューションズという企業の講師の方を招いての「社会人導入研修」というものでした。
社会人導入研修は、『新卒採用パンフレットの企画』というプロジェクトを進める中で、社会人の基本を身に着けよう、という趣旨で行われました。講師の方は、元リクルートで某雑誌の編集長をされていた方でした。
5人一組の班で、企画を通すべく講師に挑みましたが、なかなかうまくいきません。
「甘い!なんだこの企画書は!企画を通そうという気が感じられない、やり直し」
「なぜもっと早く相談しなかった。進捗に遅れているぞ」
「自分勝手に判断するのはやめなさい」
毎日、いや毎時間怒られながら、企画書に向き合う時間が続きました。2日目には、作業は徹夜に及びました。結果、提出期限の10秒前になんとか提出できたものの、自身の甘さに愕然としたものです。
3日間で学んだ社会人の心得とは、「報告・連絡・相談を密に行い、上司とのすり合わせを進めながら、必ず期限までに成果物を仕上げること」であります。その一番最初の「報告・連絡・相談」がなかなか難しいもので、上司に話しかけるタイミング、コンパクトな伝え方において何度も指導を受けました。講師曰く、「皆、この1年間は怒られながら報連相の上手いやり方を学ぶ」「上司から心配される部下になれ」とのことでした。
泊まり込みの研修が終わると、少しの達成感とともにその日は爆睡。来週からは、支店での勤務が始まります。

 

 

―「休みはゆっくりできた? 今日からハイテラーやってもらうからよろしく」―


最初の3カ月は、研修所と支店を往復しつつ、座学と実践で銀行の後方事務を身に着けていきました。銀行の後方事務とは、大きく「預金後方」「出納」「為替」の3つがあります。


① 「預金後方」・・・伝票を機械で処理することがメイン。お客様の記入した(中には行員が記入した)伝票に間違い・漏れがないかチェックし、OKならば機械で入力して処理を行います。


② 「出納」・・・現金の入出金がメイン。WAVEという機械にお金が入っており、伝票をもとに手入力で現金を入れたり出したりします。時には1,000万円の出金も。1,000万円は、手に取ってみると案外軽いものです。


③ 「為替」・・・振込伝票の入力をし、先方銀行への送金事務を行います。また税金関係の書類を取りまとめて、色々な機関に送ったりします。振込関係は、先方の銀行等も絡むので、ミスをしたら訂正が大変です。お客様にも手数料を要求しなければならない場合もあり、神経を張る必要があります。


以上の3ポジションを、新入生3人で、2週間ずつローテーションしながら業務を覚えていきました。


時は7月。預金後方として信頼をつかみ、業務がいい感じで回ってきたころ。
7月は、頭から4日連続で研修があり、その後5営業日の長期休暇を取得することになっていたので、実質約2週間、支店を離れることになりました。
長期休暇は、前の月に、上席より「長休は早めにとって。人繰りの関係でここしかあいてないから、この週でよろしく」と急に決まったので、特に予定も入れられず、だらだらと過ごしてしまいました。
そして、2週間ぶりに支店に戻ると、朝一で支店長応接に呼ばれました。
「支店長、長休いただきありがとうございました」
「休みはゆっくりできた?で、今日からハイテラーだから、よろしくね。テラーの権限付与したから、ここに印鑑頂戴」


・・・突然のハイテラーデビューが待っていました。

 

〜次回④導入研修編へ続く〜

 

※この物語はフィクションです。

 

 

若手地銀マンの安定ライフ③~入行式編~

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。
このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。


■前回までのあらすじ
内定式を終え、証券外務員の資格も取得し、あとは入行を待つだけに。3月末日、同期と話す中で出てきた言葉は
「だるいな」
であった・・・

 

 

―「名前を呼ばれたら、その場で返事をして起立、待機。一列全員が起立したら、息を合わせてお辞儀。その後、同時に着席」―


時は4月1日。ついに入行式の朝がきました。
朝一番で本店に集結。同期の皆も、さすがに緊張しているようで、顔が引きつっている人が多くいました。
本日のスケジュールは、「内定式→辞令交付→午後から支店に出張」という内容と聞いていました。内定式は10時スタート。始まるまでには時間があります。
それまでの間、何をするのだろう・・・と思いながら着席。研修担当の方が挨拶。本日一番の業務は、『お辞儀の練習』とのことでした。
入行式で、頭取はじめ初役員に挨拶をするので、失礼のないように・・・との名目でした。
タイミング・角度について細かく指定され、一人でもダメな人がいればやり直し。200人がタイミングを揃えてお辞儀をするというのは、なかなかに難しいものです。
お辞儀がひと段落すると、次は辞令交付の練習を行いました。中学校の卒業式で行った、「卒業証書授与」と同じイメージです。小中学校の卒業式で経験が活き、すぐに練習を終えることができました。以上の練習に40-50分程度費やした後に、いよいよ入行式がスタートしました。

 

 

―「今夜、飲み会あって、いきなりつぶされるらしいよ」―


入行式が始まると、頭取はじめ役員10名ほどが入場されました。頭取の御神体を拝見するのは、今まで3回ありましたが、その内の1回がこの場でした。
続けて新入行員の号令が始まりました。短期間の軍隊式トレーニングを積んだ我々は、無意識に、呼ばれたら返事をして、起立・礼ができるようになっていました。頭取も、不機嫌な御顔をされていなかったので、及第点の演戯ができていたのでしょう。
その後、頭取が壇上に向かわれました。頭取の御神託は、ホームページの代表者挨拶の項に記載されているような内容でした。「厳しい経済状況の中で」「競争は激化」「リーディングバンク」「攻めの経営」・・・このような内容であったと思われます。まだまだ社会人としてひよっ子の我々に、あえて平易な内容で御神託をくださった頭取の寛大さに、私は頭を垂らすことしかできませんでした。
式が終了し、役員一同が退出された後、続けて辞令交付が行われました。「○○、八街支店に配属とする」。私が勤めることになったのは、電車が1時間に2本しかない、砂嵐とピーナッツで有名なプチ田舎の支店です。今まで、部活の遠征でしか訪問したことのない町でしたので、辞令通知(A5サイズ)を受け取った際、“正直、反応に困る”というのが本音でした。
辞令交付が終わると、ようやくの昼休み。支給されたお弁当を、椅子の上で食べました。食事後、同期と雑談タイム。「どこ支店?」「遠くない?」「行ったことない」・・・このような会話をする中で、興味深い話が入ってきました。
「今夜、飲み会あって、いきなりつぶされるらしいよ。新入生の歓迎会ってことで、俺の先輩が初日から飲まされて、次の日は這って出勤したらしい」
なんとも信じがたい話です。4月1日は火曜日、次の日も仕事があるのに、そこまで飲ますものでしょうか・・・翌日の業務を考えたら、潰す・潰れるなど決してできないことであると思うのですが・・・
「そんなことはないだろう、たぶん・・・」と、行き所のない不安を抱えたまま、午後一で、八街に向けた電車に乗り込みました。

 

 

―「窓口やることになると思うから、よろしくね」―


同じ支店に配属になった同期は、私を含めて3人でした。もう2人は女性でした。内1人は、大学時代にバイトが同じ、地元も同じという友達で、とても心強い味方でした。本店勤務となった同期は、小中高が同じだった親友です。「地域に根差して働きたい」という学生は思うより多く、地元の知人と、思わぬ再会があるのも、地方銀行の魅力の一つかもしれません。
支店につくと、私のメンターとなる、一つ上の先輩が出迎えてくださり、そのまま応接へと案内されました。応接にて、支店長・副支店長より、簡単なガイダンスがありました。
「窓口やってもらうから、よろしくね。この支店は、規模の割に人数が少ないこともあって、いろいろな仕事やってもらうことになると思う」とのお話でした。その後、支店の案内があった後、先輩方と応接でお話をして、一日が終了しました。そして、業後、18:00より・・・駅前の魚民にて、我々の歓迎会が始まりました。

 

 

―「若手も多いし、初任店としてはいいところだと思うよ」―


歓迎会のメンバーは、新入行員3人、支店長、その他2,3,4,5年目の先輩方でした。昼休みの同期の話もあり、緊張しながら臨みましたが・・・飲ませる感じなど全くなく、まったりとした飲み会でした。
「若手も多いし、初任店としてはいいところだと思うよ。色々な仕事を任せてもらえるしね」というお話をくださったのは、当時4年目で、その後大変お世話になるT先輩です。他の先輩も、仕事からプライベートのことまで、ざっくばらんにお話ししてくださいました。
「I、次の下り電車何時?」気づけば、いい時間になっており、支店長を駅でお見送りして、その日は終了となりました。
「なんだ、飲み会でつぶされるなんてやっぱり嘘じゃないか。先輩もいい方だし、支店もやりがいありそうだし、やっていけそう!」
私は、幸せな気分で、眠りにつきました。明日からは、研修所に泊りがけで、銀行の基礎を学ぶ研修です。頑張ろう!


~次回④導入研修編へ続く

 

※この物語はフィクションです。