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若手地銀マンの安定ライフ③~入行式編~

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。
このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。


■前回までのあらすじ
内定式を終え、証券外務員の資格も取得し、あとは入行を待つだけに。3月末日、同期と話す中で出てきた言葉は
「だるいな」
であった・・・

 

 

―「名前を呼ばれたら、その場で返事をして起立、待機。一列全員が起立したら、息を合わせてお辞儀。その後、同時に着席」―


時は4月1日。ついに入行式の朝がきました。
朝一番で本店に集結。同期の皆も、さすがに緊張しているようで、顔が引きつっている人が多くいました。
本日のスケジュールは、「内定式→辞令交付→午後から支店に出張」という内容と聞いていました。内定式は10時スタート。始まるまでには時間があります。
それまでの間、何をするのだろう・・・と思いながら着席。研修担当の方が挨拶。本日一番の業務は、『お辞儀の練習』とのことでした。
入行式で、頭取はじめ初役員に挨拶をするので、失礼のないように・・・との名目でした。
タイミング・角度について細かく指定され、一人でもダメな人がいればやり直し。200人がタイミングを揃えてお辞儀をするというのは、なかなかに難しいものです。
お辞儀がひと段落すると、次は辞令交付の練習を行いました。中学校の卒業式で行った、「卒業証書授与」と同じイメージです。小中学校の卒業式で経験が活き、すぐに練習を終えることができました。以上の練習に40-50分程度費やした後に、いよいよ入行式がスタートしました。

 

 

―「今夜、飲み会あって、いきなりつぶされるらしいよ」―


入行式が始まると、頭取はじめ役員10名ほどが入場されました。頭取の御神体を拝見するのは、今まで3回ありましたが、その内の1回がこの場でした。
続けて新入行員の号令が始まりました。短期間の軍隊式トレーニングを積んだ我々は、無意識に、呼ばれたら返事をして、起立・礼ができるようになっていました。頭取も、不機嫌な御顔をされていなかったので、及第点の演戯ができていたのでしょう。
その後、頭取が壇上に向かわれました。頭取の御神託は、ホームページの代表者挨拶の項に記載されているような内容でした。「厳しい経済状況の中で」「競争は激化」「リーディングバンク」「攻めの経営」・・・このような内容であったと思われます。まだまだ社会人としてひよっ子の我々に、あえて平易な内容で御神託をくださった頭取の寛大さに、私は頭を垂らすことしかできませんでした。
式が終了し、役員一同が退出された後、続けて辞令交付が行われました。「○○、八街支店に配属とする」。私が勤めることになったのは、電車が1時間に2本しかない、砂嵐とピーナッツで有名なプチ田舎の支店です。今まで、部活の遠征でしか訪問したことのない町でしたので、辞令通知(A5サイズ)を受け取った際、“正直、反応に困る”というのが本音でした。
辞令交付が終わると、ようやくの昼休み。支給されたお弁当を、椅子の上で食べました。食事後、同期と雑談タイム。「どこ支店?」「遠くない?」「行ったことない」・・・このような会話をする中で、興味深い話が入ってきました。
「今夜、飲み会あって、いきなりつぶされるらしいよ。新入生の歓迎会ってことで、俺の先輩が初日から飲まされて、次の日は這って出勤したらしい」
なんとも信じがたい話です。4月1日は火曜日、次の日も仕事があるのに、そこまで飲ますものでしょうか・・・翌日の業務を考えたら、潰す・潰れるなど決してできないことであると思うのですが・・・
「そんなことはないだろう、たぶん・・・」と、行き所のない不安を抱えたまま、午後一で、八街に向けた電車に乗り込みました。

 

 

―「窓口やることになると思うから、よろしくね」―


同じ支店に配属になった同期は、私を含めて3人でした。もう2人は女性でした。内1人は、大学時代にバイトが同じ、地元も同じという友達で、とても心強い味方でした。本店勤務となった同期は、小中高が同じだった親友です。「地域に根差して働きたい」という学生は思うより多く、地元の知人と、思わぬ再会があるのも、地方銀行の魅力の一つかもしれません。
支店につくと、私のメンターとなる、一つ上の先輩が出迎えてくださり、そのまま応接へと案内されました。応接にて、支店長・副支店長より、簡単なガイダンスがありました。
「窓口やってもらうから、よろしくね。この支店は、規模の割に人数が少ないこともあって、いろいろな仕事やってもらうことになると思う」とのお話でした。その後、支店の案内があった後、先輩方と応接でお話をして、一日が終了しました。そして、業後、18:00より・・・駅前の魚民にて、我々の歓迎会が始まりました。

 

 

―「若手も多いし、初任店としてはいいところだと思うよ」―


歓迎会のメンバーは、新入行員3人、支店長、その他2,3,4,5年目の先輩方でした。昼休みの同期の話もあり、緊張しながら臨みましたが・・・飲ませる感じなど全くなく、まったりとした飲み会でした。
「若手も多いし、初任店としてはいいところだと思うよ。色々な仕事を任せてもらえるしね」というお話をくださったのは、当時4年目で、その後大変お世話になるT先輩です。他の先輩も、仕事からプライベートのことまで、ざっくばらんにお話ししてくださいました。
「I、次の下り電車何時?」気づけば、いい時間になっており、支店長を駅でお見送りして、その日は終了となりました。
「なんだ、飲み会でつぶされるなんてやっぱり嘘じゃないか。先輩もいい方だし、支店もやりがいありそうだし、やっていけそう!」
私は、幸せな気分で、眠りにつきました。明日からは、研修所に泊りがけで、銀行の基礎を学ぶ研修です。頑張ろう!


~次回④導入研修編へ続く

 

※この物語はフィクションです。