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若手地銀マンの安定ライフ④~導入研修編~

「全国転勤なし」「高給」「地域No.1ブランド」「絶対につぶれない」―地方に根ざし、安定した(加えて、ちょっとだけ良い)生活を送れる就職先として名高い、地方銀行。しかし、銀行で具体的にどのような仕事をするのかについて、具体的なイメージを持てる方は、実は多くないように思えます。
このシリーズでは、新卒で茨城の地方銀行に入社した筆者が、安定した生活を得るまでのストーリーをご紹介していきます。


■前回までのあらすじ
軍隊式トレーニング、入行式、支店への訪問と、入行初日は密度の濃い時間を過ごした。
その後の歓迎会も、素敵な先輩方に囲まれ、楽しい時間であった。今後の銀行員生活に期待を膨らませながら、次の日の研修に備え眠りにつく。
そして、次の日。

 

 

―「甘い!なんだこの企画書は!企画を通そうという気が感じられない、やり直し」―


銀行員2日目。私は、学生向け新卒採用パンフレットの企画書を作っていました。
本日から3日間、郊外にある研修所にて、泊まり込みの研修が入っていました。研修の内容は主に2つありました。一つは、伝票の書き方、預金口座の種類、“現金その場限り”の原則等、銀行の基礎知識についての座学。もう一つが、リクルートマネジメントソリューションズという企業の講師の方を招いての「社会人導入研修」というものでした。
社会人導入研修は、『新卒採用パンフレットの企画』というプロジェクトを進める中で、社会人の基本を身に着けよう、という趣旨で行われました。講師の方は、元リクルートで某雑誌の編集長をされていた方でした。
5人一組の班で、企画を通すべく講師に挑みましたが、なかなかうまくいきません。
「甘い!なんだこの企画書は!企画を通そうという気が感じられない、やり直し」
「なぜもっと早く相談しなかった。進捗に遅れているぞ」
「自分勝手に判断するのはやめなさい」
毎日、いや毎時間怒られながら、企画書に向き合う時間が続きました。2日目には、作業は徹夜に及びました。結果、提出期限の10秒前になんとか提出できたものの、自身の甘さに愕然としたものです。
3日間で学んだ社会人の心得とは、「報告・連絡・相談を密に行い、上司とのすり合わせを進めながら、必ず期限までに成果物を仕上げること」であります。その一番最初の「報告・連絡・相談」がなかなか難しいもので、上司に話しかけるタイミング、コンパクトな伝え方において何度も指導を受けました。講師曰く、「皆、この1年間は怒られながら報連相の上手いやり方を学ぶ」「上司から心配される部下になれ」とのことでした。
泊まり込みの研修が終わると、少しの達成感とともにその日は爆睡。来週からは、支店での勤務が始まります。

 

 

―「休みはゆっくりできた? 今日からハイテラーやってもらうからよろしく」―


最初の3カ月は、研修所と支店を往復しつつ、座学と実践で銀行の後方事務を身に着けていきました。銀行の後方事務とは、大きく「預金後方」「出納」「為替」の3つがあります。


① 「預金後方」・・・伝票を機械で処理することがメイン。お客様の記入した(中には行員が記入した)伝票に間違い・漏れがないかチェックし、OKならば機械で入力して処理を行います。


② 「出納」・・・現金の入出金がメイン。WAVEという機械にお金が入っており、伝票をもとに手入力で現金を入れたり出したりします。時には1,000万円の出金も。1,000万円は、手に取ってみると案外軽いものです。


③ 「為替」・・・振込伝票の入力をし、先方銀行への送金事務を行います。また税金関係の書類を取りまとめて、色々な機関に送ったりします。振込関係は、先方の銀行等も絡むので、ミスをしたら訂正が大変です。お客様にも手数料を要求しなければならない場合もあり、神経を張る必要があります。


以上の3ポジションを、新入生3人で、2週間ずつローテーションしながら業務を覚えていきました。


時は7月。預金後方として信頼をつかみ、業務がいい感じで回ってきたころ。
7月は、頭から4日連続で研修があり、その後5営業日の長期休暇を取得することになっていたので、実質約2週間、支店を離れることになりました。
長期休暇は、前の月に、上席より「長休は早めにとって。人繰りの関係でここしかあいてないから、この週でよろしく」と急に決まったので、特に予定も入れられず、だらだらと過ごしてしまいました。
そして、2週間ぶりに支店に戻ると、朝一で支店長応接に呼ばれました。
「支店長、長休いただきありがとうございました」
「休みはゆっくりできた?で、今日からハイテラーだから、よろしくね。テラーの権限付与したから、ここに印鑑頂戴」


・・・突然のハイテラーデビューが待っていました。

 

〜次回④導入研修編へ続く〜

 

※この物語はフィクションです。