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コラム①〜 Investor chigin

■8:30

―chiginの日課を紹介しよう。
5:20 起床である。
6:20 外出する。
6:42 電車に乗る。電車が一時間に一本しかないので、この電車を逃すと“遅刻確定”である。
7:38 山武駅に到着する。
7:42 職場に到着する。8:00まではオフィスに入れないので、2階の食堂で待機である。8:00までの18分で、chiginは“あること”をしている。
8:00 オフィスに入る。始業準備として、金庫からキャビネットを出したりする。始業時間前なので、この時間に給料はもちろんつかない。

8:30 始業時間である。chiginはフロアに向かって叫ぶ。
「日経の読みあわせやりまーす!」

 

chiginは、毎朝8:30より、「日経新聞の読みあわせ会」と題して、5分程度の簡単な勉強会を主催している。支店長・次長もたまにいらっしゃるので、なかなかに気が抜けないタスクである。そのため、朝の電車の時間、及び始業前の時間を使って、情報を集め、レジュメを作り、発表している。

 

日経平均株価」誰もがニュースや新聞で、耳にしたことがある言葉であると思う。しかし、いざ本格的に「今日の日経株価はいくらになりそう」という予想をした経験はあるだろうか。たかが一島国の一指標と侮るなかれ、この予想がとても難しい。グローバル社会と言われ続ける中、日本企業の株価は、世界のあらゆる箇所の経済状況、政治状況、於いては地球の裏側の1ニュースの影響を受けてしまうほど、世界に溶け込んでしまったためである。


(2016/6/16に英下院議員が銃撃されたニュースをご覧になっただろうか(不謹慎な話で申し訳ない)。このニュースは日本株高要因となった。イギリスがEUを脱退するか否かの国民投票が23日に控えている。この議員は残留派であった。講演終了後銃撃された。この事件を機に、残留派・離脱派共に、国民投票に向けてのキャンペーンは一時停止された。残留派が撃たれたこと、及び国民投票に向けて(EU離脱に向けて)の勢いが弱まったことにより、英国のEU離脱リスクが低下したと市場では認識された。その結果、海を挟んだアメリカでは、(株式等と比べて)安全資産とされる国債の需要が後退し、10年物国債金利は上昇した。米国債金利上昇はドルの需要を喚起し、円安ドル高要因となった。円安は、日本企業の業績を押し上げる効果があるので日本株高要因となった。現に、翌日17日は朝方から日本株上昇の動きとなった。)

 

株価の動きを完璧に予想するのは正直不可能ではあるが、マーケットに連動して毎日値段の変わる金融商品を販売している以上、決して目をそらせないのが銀行員の辛いところである。本論では、日々chiginがどのように情報収集をし、まとめ、暗闇の中で光を見出そうとしているのかについて、紹介さしあげたい。

 

■1-2、1、1
―話を「日経新聞の読みあわせ」に戻す。始業時間前に、下記3つの資料をコピー・作成する。


日経新聞の中で気になった記事の切り抜き
会を5分で済ますには、1-2枚といったところである。


日経新聞のマーケット総合1欄
新聞の真ん中ぐらいにある。主に「騰落レシオ」「PER」(後述)という指標のチェックに用いる。


③手書きレジュメ
当日朝時点での重要指標を記入している。重要指標として、「日経平均先物」「ダウ先物」「ドル円」「ユーロ円」「上海総合指数」「WTI原油先物」の値を記入している。


最後に、上記の資料+インターネット等の記事を踏まえて、「昨日のマーケットの総括+今日(今週)の相場見通し」のコメントを記載し終了である。

 

■80≦x≦120、x≦15


―「昨日のマーケットの総括」については、上記6つの重要の指標、及び新聞の記事を読めば大体わかる。問題は「今日の相場見通し」である。chiginは、主に3つの指標を参考にし見通しを立てている。

 

a.シカゴ日経平均先物
ざっくりいうと、「今日の日経平均がどれくらいに落ち着きそうか」という至極ダイレクトな指標である。
先物とは、「将来のある決まった時点で、決まった価格にて取引できる権利」である。先物市場では、投資家が「将来これくらいになりそう」という予想の元、日経平均の未来を売り買いしているのである。日本国民が寝静まっている深夜に、アメリカのシカゴでは市場が開いている。日本時間の明朝5時に、同市場が閉まる。その時点でのシカゴ日経平均先物の値は、投資家が「今日の相場の未来」を予想し取引した終値であるから、その日の日経平均株価を占う上で参考になる。未来に現在が追い付いていくイメージである。例えば、6/16の日経平均終値が16,000円、6/17明朝のシカゴ日経平均先物終値が15,500円だったとしたら、6/17 8:00のchiginは「今日日経平均さがりそうだな」と思うのである。

 

b.騰落レシオ
ざっくりいうと、「短期的な市場の過熱度」を測る指標である。
騰落レシオ(%) = 値上がり銘柄数 ÷ 値下がり銘柄数 ×100
で与えられる。サインカーブを頭の中に描いてみてほしい。相場には波がある。波が上向いてきたときは「多くの銘柄が値上がっている」ときである、逆に波が下向いているときは「多くの銘柄が値下がっている」ときである。騰落レシオで考えると、値上がり銘柄が100コ、値下がり銘柄が100コと同数だったら100%である。100%を基準にして、波が上向いているとき=値上がり銘柄が多いときはover 100%、逆のときはunder 100%となる。
一般に、騰落レシオが120%に近づいたときは波のてっぺん=過熱しすぎと考えられ、その日より下落トレンドに移行することが多い。反対に、騰落レシオが80%に近づいたときは波の底=下げきった状態であり、本日は上昇に転じると考えられる。大体、1週間ちょっとで波が一巡する傾向にある。

 

c.予想PER(株価収益率)
ざっくりいうと、「中長期的に株価が割安か割高か」を測る指標である。
PER(倍)=株式時価総額÷当期純利益
で与えられる。PERが低いと、「会社が稼ぐ利益に対して株価が割安」=「今後株価が伸びそうだから買い時」となる。
この指標は個別銘柄についてももちろん計算できるが、目を広げて「日経平均採用銘柄」というくくりで計算すると、一般に「予想PER=15倍」が適正値といわれている。
去年は比較的15倍を上回る水準=割高の水準が長かった記憶がある。今年入ってからは15倍を下回る機会が増えた。ひょっとしたら今は割安な水準なのかもしれない。騰落レシオが短期的なトレンドを示す一方で、より中長期的に株価が割安か割高かを判断するのに使える指標である。

 

■540
―資料の作り方、及び簡単な指標の見方を述べたが、そもそも上記の材料をどの情報源から入手しているのかを紹介したい。

 

Ⅰ.Bloomberg (https://www.bloomberg.co.jp/)
世界で有名な情報データベース、を提供している企業のサイト。世界各地の情報がリアルタイムで入ってくる。昨日の相場の分析、主要指標の結果及び解釈等々の記事があり、暇あらばチェックしている。

 

Ⅱ.ロイターニュース(http://jp.reuters.com/
某国際ニュース会社。Bloombergに欲しい記事がなかったときは、ロイターで探してみたりする。スマホアプリあり。

 

Ⅲ.みんなの外為 経済指標カレンダー(http://fx.minkabu.jp/indicators/calendar
アメリカの雇用統計等、株価に影響を与える主要経済指標の日程、重要度、及び概要をチェックできるサイト。週初のチェックは欠かせない。

Ⅳ.テレビ東京 ビジネスオンデマンド(http://txbiz.tv-tokyo.co.jp/
テレビ東京の経済番組がオンデマンドで視聴できる。アプリあり。
特に、「ニュースモーニングサテライト」は要チェックである。「今日の為替見通し」「今日の株価見通し」というコーナーで、投資の専門家が、日経先物等を見ながら見通しを語ってくれる。「今日の予想レンジは16,500-16,700円。理由は・・・」という感じである。所要時間は各2分半。これを毎日視聴するだけで相場の知識が相当身に付く。
オンデマンドじゃなくてもいい方については、毎朝6:20-6:30の間に、一度チャンネルを7chに回してみてほしい。リアルタイムでやっている。

Ⅴ. 日経平均先物 CME SGX 大証 夜間 リアルタイムチャート(http://nikkei225jp.com/cme/)
レジュメに用いる、日経平均ドル円等の重要指標等が1ページに、リアルタイム更新されており大変便利である。

 

Ⅵ.日本経済新聞
日本国内についての情報量は文句なしのNo.1。もはやバイブル感を醸し出している。

 

■2016/07/01
―以上、本論では、chiginの日課としてのマーケットの分析・予測方法及びその報告スタイルについて拙筆ながら紹介した。

 

銀行に入って一番の収穫は「“相場観“を身につけられた」ことだと考えている。入行以降、色々な方法でマーケットについて勉強を重ねて2年。ようやく感覚がわかってきた(とはいえまだまだまだまだ勉強しなければ一人前と言えないが)。毎日調べ、分析していると、相場の流れがわかってくるものである(流れが変わった、というのも感じられるようになる。例えば、米利上げについて予測が飛び交い始めた5月の2周目に流れが変わったのだが、その週は1日たりとも予想を当てることができなかった。モーサテの専門家も盛大に外して叩かれていた)。逆に、一日でもチェックを怠ると、相場の流れに一瞬でついていけなくなる。英語と同じである。

今後も、マーケットの知識をつけるべく、頑張っていきたい。

(了)