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コラム②〜とある銀行員の日常

~とある銀行員の日常~

 

Ch.1 「詰め」の季節

 

―3月。最近の寒い日々を考えると中々実感しないが、暦上ではれっきとした「春」の季節である。春は、「出会いと別れ」の季節である。彼の都の西北早稲田大学では、3/25に卒業式が行われたと伝え聞く。
社会人の場合、確かに異動等で出会いと別れが多い季節である。しかし、こと3月においては、そんなことに思考を割いている暇はないほど忙しい方々が多いと思う。そう、3月は「年度末」である。3月の実績は即28/3期決算にはねる。5月ごろの決算発表により株価がどう動くか、そして我らの賞与がどうなるか決まるのである。
故に、決算書を少しでもよく見せようとする経営陣の熱意、いや殺意は凄まじい。殺意は、支店長を通じて、次長を通じて、営業員まで伝達される。支店では毎日「収益!収益!収益!収益!」との号令が鳴り響く。毎日一人一人、目標と実績の乖離を確認される。どこでいくらとってくるかのリストを共有し、リストの一件一件について「進捗は?」との問答を繰り返す。もしリストに減少が見られるようならば、「足りない部分はどこでとってくるんだ」との詰めが入る。
こうして、毎日毎日神経をすり減らしながら来年度を待ち望んでいるのが社会人の実際であろう。3月は「詰め」の季節なのである。

 

 ※この物語はフィクションです。