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コラム④ CHIGIN’S ALBUM 5 – introductory chapter -

―キミの大切な思い出に どうか私も居ますように
見たことないキミの世界を もっと分けて欲しい―
『YOU』/ YURIA


昔から、直球で愛を歌う曲が好きだった。
高校生の頃は、どちらかといえば恋愛とは程遠い生活だった。
「恋」や「愛」の何たるかを知る機会がなかったからこそ、どこか一途に追い求めていたのだろうか。
お年玉で買ったウォークマンに入れて、延々と、聞いていた。

 


CHIGIN’S ALBUM 5 – introductory chapter -

 

 

ーー大学生になった。
相棒だったウォークマンは、遂にバッテリーがもたなくなって、彼女とお揃いのiPodに買い替えた。
友達の恋話をきいて、
自分でも恋愛を経験して、
世の中には色んな恋の形があることを知った。
一方で、宮崎あおい岡田准一が不倫とか、森泉がフライデーされたとか、そんなニュースがよく目につくようになった。
いや違う、大人になってから、背丈と一緒に、世間へのアンテナが高くなっただけで、
昔から、まだ私が純粋だったころから、数多く存在していたなのだろう。
かといって、私の近くで似たようなことがあった訳ではなく、これ以上考えを深めることはなかった。

 

ーー「お先に失礼します。お疲れ様でした」
時は5月。23歳になりたて、まだ会社に入りたての頃。
日々の緊張と、ちょっとだけ窮屈な人間関係とを引きかえに、今しかない“ 定時上がり ”という特権を得ていた。仕事終わりに、夕日の灯る街を歩いていると、通りすがりの本屋で、一冊の本と目があった。

『大人の不倫学』と、書かれていた。
何となく、「〇〇学」という言葉には見過ごせない響きがある。
ここ2年くらいで、わからないことを調べる楽しさを、知ってしまったためだろうか。
そのとき、学生時代のニュースが頭をよぎった。どうして人間は不倫をするのか、少し調べてみるのも、悪くない…
私は本棚に手を差し伸べていた。

 

 

―あなたの腕に抱かれて眠る 何もかも捨てたっていいわ
止められないの 良いコじゃいられない―
『夢幻』/ 水樹奈々


『大人の不倫学』は、不倫について、「社会学」「結婚学」「生物学」「マクロ経済学」「ミクロ経済学」「心理学」「政治学」的検知から分析した結果を述べていた。
一冊を通して、何か導き出すべき共通のゴールがあるわけではない、いわゆるオムニバス形式で書かれていた。各章の結論はばらばらである。例えば、社会学的分析の結論の一つは、“ 1年以内に不倫をした経験の割合は、夫が57.3%、妻が23.9%”である。マクロ経済学的分析の結論の一つは、”「浮気市場」に参入した既婚男性には、「恋愛市場」や「結婚市場」においてモテの必須条件だった学歴や社会的条件は必要とされず、ポケットマネー、五感的魅力、高いコミュニケーション能力がモテの要因 “である。心理学的分析の結論の一つは、” ドーパミンが多いと、アウトドア派になり、恋愛中毒を起こしやすく、不倫しがち “である。

中でも、「どうして皆不倫をするのか?」という私の疑問の答えを抜き出すと、

・不倫は遺伝子。
・発現しやすさには先天的要因と後天的要因、その他環境的要因がある。
・先天的要因は、①男性ホルモンのテストテスロン②神経伝達物質ドーパミン及び③脳内科学物質セロトニンの多寡である。
・後天的要因は、④倫理観の多寡、⑤五感的魅力の多寡、⑥魅力度の不釣り合いなカップル、⑦ポケットマネーの多寡、及び⑧結構前の交際人数である。
・その他、不倫に至る環境的要因は、⑨出会いの数、⑩夫婦間の物理的距離、及び⑪不倫に関する情報である。

と述べられていた。これらの要因を、芸能業界で働く人、いわゆる芸能人の一般的なイメージに当てはめてみる。

①-③の先天的要因をざっくり言い換えれば、

①見た目も中身も野生的でエネルギッシュな人
②アウトドア派
③ポジティブ思考

となる。不倫でニュースに上がった人物で、これらの要因を持つ芸能人が浮かんでこないので、「個人差がある」というのが私の意見である。

④-⑪の要因については、芸能人のイメージで判断すると、

④個人差
⑤〇
⑥夫婦差
⑦〇
⑧〇
⑨〇
⑩〇(会う機会が少ない、という意味で)
⑪〇

と判断する。これらの情報のみで判断すれば、
・芸能界は他の業界に比べて、不倫遺伝子が発現する要因が多いが故に不倫しやすい
・芸能人の中でも不倫をしやすいのは、「倫理観のない人」及び「アンバランスなカップル」である
と導出される。

とはいえ、これらの要因の真偽について、芸能人の定義について、及び各要素との整合性について、全く検証できていないため、この議論は正当さを持ち得ない。今後より一層の研究、検証が必要である。

 

ーー「お出口は、左側です」
こんなくだらないことを、帰りの電車の中で考えてる内に、最寄り駅についてしまった。つい癖で、「より一層の研究、検証が必要」なんて結論を頭の中で描いてしまったが、不倫なんて、今の自分に関係の薄いテーマなので、すぐ忘れてしまうのだろう。


いつも通り、イヤホンを耳にかけ、自転車に跨り、誰もいない夜道を駆ける。5月の夜風は、少しだけ肌寒い。

 

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あなただけ見つめてる 独りで待つ二人だけの部屋
あなたの微笑みは バラ色の鎖ー
あなただけ見つめてる』/ 大黒摩季


最近、聴く曲が、変わった。
届くことのない、でも抑えていると自分がおかしくなるような、
あるいは、何もかもを捨ててでも、相手に近づきたいような、
ぐしゃぐしゃな想いを、心臓の奥からねじり出すような、
そんな曲ばかり、ひび割れたiPodに入れて、聴くようになった。
もう、純粋でいられない。
もう、戻れない。

 

 

CHIGIN'S ALBUM 5 - closing chapter -

 

 

Come Soon…

 

*この物語はフィクションです。